多くの人が住み、激しい気候変化に直面しているユーラシア大陸の過去の気候を知り、将来へ備えるために必要な基本的なデータのひとつとして、長期間・高解像度の日降水・日平均気温データセットがあります。
「アジアの水資源への温暖化評価のための日降水グリッドデータの作成(APHRODITE)プロジェクトでは、長期間にわたる観測データを収集し、解析に便利な0.25度/0.5度格子の50年間の日降水・日平均気温データセットを作成しています。
アジアの現地気象・水文観測機関および研究者との国際協力により、雨量計観測データを入手し、長期間にわたる日降水・日平均気温グリッドデータを作成しています。独自の品質管理アルゴリズムによって、アジア域ではこれまでにない、時間空間高解像度データセットが開発されました。
このウェブサイトでは、アジアにおける0.25度/0.5度間隔、1951年~2007年にわたる日降水グリッドデータ(APHRO_MA/ME/RU_V1101R1)および1961年~2007年にわたる日平均気温グリッドデータ(AphroTemp_V1204R1)を作成、公開しています。これらのデータセットは、アジアで唯一の雨量計観測データに基づいた大陸スケールの日降水・平均気温グリッドデータです。
0.05度間隔、1900年~2011年にわたる日本の日降水データ(APHRO_JP_V1207)も作成、公開しています。すべてのデータを入力したものと併せて作成した、データ入力地点を一定にしたデータセットは、APHRO_JPは極端現象の長期変化解析研究に適しています。
データを提供してくださった機関等に対しては、その国・地域の0.05度間隔のデータセットを提供したり、技術セミナーを開催したりするなどのフィードバック活動を実施しました。データユーザからのフィードバックは、当サイト経由で受けております。また、2010年5月には日本地球惑星連合大会では国際セッションを開催し多くのAPHRODITEユーザから研究成果を紹介していただきました。
APHRODITE日降水・日平均気温グリッドデータは、アジア域における唯一の大陸規模・長期間(1951年~)・日単位のプロダクトであり、ヒマラヤ、南アジア、東南アジアおよび中東の山岳地域などの雨量計観測データを多く利用して作成しています。本研究で使用した有効な観測地点は、5000から12000地点におよび、多くの先行研究で使用されている全球気象観測システム(GTS)ネットワークの観測地点の2.3倍から4.5倍にあたります。このプロダクトは、気候変化の診断的解析やアジアの水資源評価、統計ダウンスケーリング、予報改善、数値モデルシミュレーションの検証や衛星降水量の評価などに広く活用されることが期待されています。
データセットは無料でダウンロードでき、GrADSやnetCDFで簡単に取り扱うことができます。日降水・日平均気温データセットには、日ごと・グリッドごとの観測地点の分布情報を付加し、各グリッドが実際の観測値を含んでいるのか、内挿によって得られた値なのかを判断することが可能です。APHRODITEデータは、他の降水グリッドデータを評価するベンチマークとして活用することもできます。